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『見えない力』を感じること

 人の記憶や思い出っていつまでも頭の中に残ってるのかとたまに怖くなることがある。記憶喪失は大げさだけど脳って何者なのかわからない。自分のやってきた事って記者でもいない限り、自分で管理しとかないと【突然消えてしまったら】それきりだ。理想は愛する人が生き様を見ててくれればそれだけでいいのだが・・・。なので、今までで自分に起ったいい話を形に残していこうと思う。
 前にブログで夢に{白蛇}が突然出てきてピンチを救ってくれた話はしたが、僕を救ってくれた話をまたしたい。今から、四、五年前の事。舞台の稽古やらでお金に余裕もなく忙しくしてたある日。夕方、用事ででかけてて、新宿に帰ってきて駐輪場へ向かいながら空腹感に襲われる。でもお金もない、家にも食べるものはこれといってない・・どうする俺・・・めったにそこまで落ち込むことがないほど途方にくれていた矢先。目に入ってきたのは、シャッターが降りた銀行の前でちょこんと座り込んでる太っちょの大柄なおばあちゃん。脇には大きな土産かばんが3、4個置いてある。完全に疲れてる感じ。新宿駅前だから人通りは半端ない。その中で一人その波から明らかに外れている。一度は素通りするが、やはり気になり戻って話しかけてみた。どうやら、数日前に富山から一人で観光に来ててこれから予約してある高速バスで帰るとこなのだが、バスターミナルが分からなくとりあえず休んでたとこだった。拒む理由もないから、年寄りには余りにも多すぎる荷物を持てるだけ持ってあげてバスターミナルまで連れて行く。それにしてもよくここまでこれだけの荷物を持ち歩いたもんだと感心するほどであった。
 バスターミナルに連れて行き、さあ役割は終わったと帰ろうとすると、おばあちゃんはチケットを見てバスの出発の時刻が明日に変わる寸前の深夜の時間だと気づく。”めちゃくちゃ時間あるじゃん!!”でおばあちゃんは時間まで僕にお礼をしたいと言ってくれて、丁度夕飯時だし好きなもの何でもごちそうしてくれると言い出した。う~ん今の自分の状況を考えたらカッコつけてもあれだ・・素直にご好意を頂く事に。本当になんでもいいという。何か夢の様である。タイムズスクエアーが横にある。レストラン街へ向かった。流石になんでもいいといわれると困るもので、厚かましくない程度に好意をそれなりに頂戴させてもらったと思ってもらえる物・・・『天丼』。めったに僕は食べない物。果たして正解だったのか、自分の食に対する価値観が問われた瞬間だった気がする。なんでもいい・・そう言われたら皆さんはなにを選択します?
 今知り合ったおばあちゃんと天ぷら屋で食事している。奇妙な感じ。しかし、満足&助けられた感でいっぱいであった。まだ時間があるからと、喫茶店でお茶することに。話が弾み僕の芝居話を聞いてくれたりした。おばあちゃんは富山で一人で暮らしてるそうで東京の病院に用事できたついでに買い物を楽しんだそうだ。僕は恩返しの意味でもとおばちゃんの名前を知ろうと尋ねると、急におばちゃんは間をあけて、《それはいい、今日だけの知らなくていい事。》と言っていっさい身元は明かしてくれなかった。あの瞬間だけおばちゃんが別人になった気がした。そうして、なんだかんだで出発時間近くまで過ごし店を出たとこでおばちゃんが見送りはいらないと言うので別れた。あの大きな荷物を一人で抱えてターミナルに向かうおばあちゃんの後ろ姿を見届けて・・。
 長々書いてしまったが、今でも自分のなかの素敵な話であり、あのおばあちゃんは本当に富山へ帰ったのか、不思議に感じる暖かい思い出なのです。僕があの時一緒に過ごしたおばあちゃんって他の人にも見えてたのかな・・・なんて。
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プロフィール

agotonio

Author:agotonio
1973年、埼玉浦和生まれ、AB型。
故俳優蟹江敬三氏を追い続けている。イッセー尾形氏のひとり芝居にあこがれ農大劇研で芝居を始めた。トムプロジェクトの養成所に入り、人生の指針が動きだした。
新日本プロレスをこよなく愛す。
俳優。

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